私たちが人との関係で感じる苦痛や悩みはどうすれば取り除くことができるでしょうか?
実のところ、対人関係の苦痛の原因はその一つ一つの出来事によるものではありません。
いつもいつも、外側の相手に対して不満を抱いても、相手をコントロールすることは基本的にはできません。
原因は物事の行方でもなく、目の前の相手でもないとしたら、苦痛の正体はどこにあるのか。
それは、自分自身の中の決め込んだ観念によるものです。
こういう場合は、このように振舞って欲しい。このような時は、このように対処してもらいたい。
相手に対して、無意識に要求している言動があり、それに見合う行為を相手が取らなかったとき、苦痛を感じたり、不満を抱いたりしているだけなのです。
無意識のレベルで、王様や女王様になっていて、それを社会通念だの常識だのに関連づけて、相手を非難したくなっているだけです。
自分に自由が認められているように、相手も自由にしてよいはずです。
なのに、相手にはこうあって欲しいと願う心が、自分を苦しめます。
話を聞いて欲しい。
認められたい。
評価されたい。
丁寧に接して欲しい。
大切に扱って欲しい。
配慮して欲しい。
心情を察して欲しい。
我慢しないで欲しい。
正直に言って欲しい。
などなど要求だらけです。
相手は自分の思考の中で生きています。
相手だって、無意識であなたにいろいろ要求しているかもしれません。
自分の決め込みや、思い込みの渦の中でもがいているという現状を知ることが苦痛から解放される第一歩です。
自分を知れば、相手のこともよく見えるようになります。
自分だって優しく振る舞えない時もある。
でもそれを責めたり、悪いと思うことよりも、ただそうなんだ。
そんなこともあるのが人間だと、自分を広い心で見つめることができれば、無用に落ち込むことがなくなります。
そして同じように広い心で他人を見つめることができ、自然に優しくなれる時がきます。
自分に対して目を開くと、世界が一変します。
苦痛の正体を見極めると、苦痛は消えてしまっています。
無意識に要求したり、それが叶えられなかった時の恐怖に怯えていただけだったと気づくと、すがすがしい気分で毎日を過ごせます。
私たちは本当は、何一つ傷つけ合うことなどないのです。